命ではなく、力をください

 

  力をください。
  僕に力を。
 
  信頼していた人に裏切られ、呆然と立ちすくむ僕の前に、彼女は立ち上がった。
  その背には世界のすべてを背負う覚悟を決めて、抜き身の剣を放ち。
 
  命であることにいかほどの違いもないと、高らかに宣言し、この地の女神たることを自ら選択し宣言したあなた。

 その輝きは、僕が求め続けて憧れ続けていた命の輝き、そのもので。
 
 
  ああ。
  けれど、その代償として、あなたは永劫に世界を支える一つの柱としてあらねばならない。
  それはすべてあなた自身が選択したことで、僕には何も言うことの出来ないことだけれど。

  神様。
  もし、僕の祈りを聞いてくれるのならば。
 
 
  力をください。
  僕に力を。
  あの人の守る世界ごと、僕が守ることができるように力をください。
 
  命ないこの身であればこそ、永劫に倦むことなくその勤めを果たすことができるでしょうから。

  僕の心がくじけたならば、この身体ごと世界も燃やし尽くすほどに、強く、強くあれるよう。
  永劫の枷と軛を僕にください。


2007.4.10up

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